突発性難聴

突発的に発症する原因不明の急性感音性難聴です。何の前触れも無く急に起きるため、「突然スイッチが切れたように聞こえなくなった」「急に耳に膜が張ったようになった」等のように、いつどこで悪くなったかはっきり自覚できるのが特徴です。「いつからかははっきりしないが、徐々に聞こえなくなった」というような訴えは突発性難聴とは異なると考えてください。

突発性難聴の原因

突発性難聴の原因ははっきり分かっていませんが、大きく2つの説があります。一つはウイルス説で、ヘルペスウイルスの仲間が内耳という音を感じる神経に入り込みダメージを与えるというものです。突発性難聴は一度かかると再発するケースは稀なので、ウイルス説の支持の理由になっています。もう一つは血流障害説で、心筋梗塞や脳梗塞のように内耳に血液を供給する血管が詰まって難聴を来すというものです。突然発症するという状態は心筋梗塞に似ていますし、血流が戻ると回復するのではないかと説明されています。いずれの説もまだ確定されておらず、研究が進められている状況です。ただ、重度の疲れや睡眠不足などのストレスは発症の引き金になっていると言われています。

突発性難聴の病態

この病気は、通常左右いずれか片側の耳に起こるのが普通で、再発はほとんどありません。健康で耳の病気を経験したことのない人が突然に耳が聞こえなくなります。

朝目が覚めた時や電話をかけている時に気づいたり、又、ヘッドフォンで音楽を聴いて初めて片方の耳が聞こえていない事に気づいたりすることもあります。時には、聞こえの悪さと同時に耳鳴りやめまい、吐き気などを伴うこともあります。

難聴の程度は人によって様々で、まったく聞こえない人もいれば、高音が聞こえないが日常生活に支障はない人もいます。又、症状が自然に回復したり悪化したりすることは多くありません。

突発性難聴の治療

治療として最も重要なのは、発症してから早期に治療を開始することです。

一般的にはステイロイド剤やビタミン剤、血液循環改善薬などの薬物療法となります。薬を内服しながら聴力検査を行います。聴力の改善状況を見ながら薬を減量していきます。又、高度難聴の場合は薬の内服に加え、点滴治療を行う事もあります。

発症してから2週間以上経過した場合や高度難聴を認める場合は予後が悪くなる可能性があります。発症後1週間以内に治療を開始することが重要となります。又、治療中は、身体と心の休息をとるように心がけて下さい。睡眠をしっかり摂り、過度の運動や飲酒を避け、ストレスや疲労を感じない生活をしていくことが大切です。

発症してから約1ヶ月で聴力は固定してしまいます。3分の1が完治し、3分の1が回復しても難聴が残り、残りの3分の1は改善が見られないと言われています。

少しでも聞こえに違和感を感じたらすぐに病院を受診することが大切です。

早期発見・早期治療、そして予防のためにも疲れやストレスを溜めない生活習慣を身につける必要があります。

 

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