外耳道真菌症

外耳道真菌症とは

ヒトの外耳道は入り口から奧の鼓膜まで薄い皮膚に覆われています。この皮膚に真菌というある種のカビの仲間が付着する状態を外耳道真菌症と言います。正常な皮膚には表面に無数の常在菌という人間にとっては害の無い菌が住み着いていますが、何らかの原因でこれらの常在菌に代わって真菌が住み着き、痒みや痛み、時に難聴を引き起こします。

外耳道真菌症の症状

正常な皮膚であれば皮膚自身がバリアとなり、また上記の常在菌がいることで外から真菌(カビ)が付着してもそこで増えることは出来ません。しかし、耳掃除により皮膚表面が傷ついたり、中耳炎での耳漏を放置しておいたりすると真菌が増殖します。特に綿棒や耳かきで皮膚の薄い外耳道の深いところ(鼓膜に近い部位)を掃除しすぎると表面から滲出液(ジクジクした液)が出て、真菌が付着・繁殖する要因となります。このカビは水虫の仲間のようなもので、湿った状態が続く環境を好むところは同じです。耳掃除は奥まで綿棒や耳かきを入れないこと、そして何より毎日掃除をしないことが大事です。

外耳道真菌症の治療

痒みや痛みの原因となる真菌は、一般的な外耳炎の原因となる細菌と違って抗生物質が全く効きません。そのため点滴や内服薬での治療は出来ず、外来に通院してもらい、耳の局所処置をこまめに受けてもらうことになります。外耳道内を抗真菌薬の液体で洗浄し、皮膚にこびりついている菌体や汚れをきれいに除去します。その上で抗真菌薬の軟膏を塗布して、再発を防ぎます。きちんと通院すれば2週間程度で治癒する軽いケースもありますが、皮膚に深く入り込んだ真菌を完治させるのは難しく、完治まで何ヶ月もかかることもあります。定期的な通院で処置を行い、自宅でも軟膏を塗ってもらい、それでようやく治るケースも少なくありません。また耳掃除の繰り返しによって再発することもたびたびありますので、注意が必要です。

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