メニエール病

メニエール病とは

繰り返すめまい、難聴、耳鳴を特徴とする病気です。

メニエール病は、内耳と言う器官に存在している液体の量が過剰になることで起こると考えられています。耳の中の液体は内リンパ嚢という、袋のような構造の中に入っています。この液体は分泌と再吸収が絶えず行われていて、通常は一定量に保たれていますが、水分量が増えることで浮腫(むくみ)が起きます。内耳の液体の分泌量が増えるメカニズムはよく分かっていませんが、この浮腫によって内耳の神経がダメージを受けめまいや難聴が起きることがメニエール病の病態です。一般的には20~50歳の人に発生しやすく、時に10代での発症も認められます。

メニエール病の症状

日常生活に支障をきたすような重度の回転性のめまい(自分や周囲が動いたり、回転したりしているような感覚)が何かに誘発されるわけでもなく突然(急性)生じ、吐き気や嘔吐を伴います。

回転性のめまいとは、自分自身か周囲のもの、またはその両方が動いたり回転したりしているように感じられる感覚のことです。このような症状の持続時間は通常、10分~数時間ですが、治療を受けない場合は24時間以上も続くことがあります。

めまい発作が起きる前やその最中に耳の閉塞感や圧迫感、耳鳴りが自覚されることが多く、検査では片方の聴力低下が認められます。耳の聴力は変動が見られる傾向があります。耳の聞こえは、低音(低周波の音)が最も影響を受けるのが一般的で、めまい発作の前後で悪化し、めまいが軽くなると聴力も戻ります。

しかし、めまい発作を繰り返すと何年もかけて聴力が徐々に悪化していく傾向にあります。また耳鳴りは常に聞こえる場合と断続的に聞こえる場合とがあり、回転性のめまい発作の最中や前後に悪化することが多いです。耳鳴りと難聴のどちらも通常は片耳だけに起こり、ストレスや疲労、睡眠不足などが深く関係して何度も繰り返しやすい特徴があります。

メニエール病の治療

 めまいの発作が起きている間は、横になって安静を保ちます。急に動こうとすると転倒することがあるので、トイレなどに行くときもつたい歩きをするか、介助がある方が無難です。

 外来ではめまいや吐き気がひどい時は、応急処置として内耳の浮腫を取るための注射や点滴を行います。内服薬としては内耳循環改善薬(抗めまい薬)、制吐薬(吐き気止め)などが処方されます。難聴や耳鳴が強い場合は炎症を抑えるためのステロイド薬、めまいが強くて熟睡出来ない場合は抗不安薬などが投与されます。メニエール病の原因である内リンパ水腫(内耳を満たしている内リンパ液が過剰に溜まること)を軽減するための利尿薬をはじめとして、ビタミン薬、自律神経調整薬、抗不安薬、副腎皮質ホルモン薬などによる内服治療を行います。

 メニエール病は、ストレスや疲れが発症や再発の引き金になることがあります。そのため、メニエール病を予防するには、ストレスを解消する方法を見つけて十分な休養を取るなど、日頃からストレスや疲れがたまりにくい生活を送ることが大切です。

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