副鼻腔炎(蓄膿症)の手術後再発した際の治療に関して
■副鼻腔炎(蓄膿症)の手術後再発率は約50%
近年では好酸球というアレルギー反応に関わる細胞が鼻副鼻腔に多く出現する「好酸球性副鼻腔炎」が増加傾向にあり、注目されています。
従来の副鼻腔炎に比べ難治性で再発もしやすく、両側の鼻の中に多発性の鼻茸(ポリープ)ができ、頑固な鼻づまりが続く、匂いがしない、喘息を合併したりすることなどが特徴です。
手術を行うと鼻茸が摘出されるので、鼻づまりは解消されます。しかし手術後6年間での再発率は約50%といわれており、大半は鼻たけが再発するケースが多いです。
鼻茸の中に好酸球が多く認められたり、喘息を合併していたりする方は鼻茸が再発しやすく、何度も手術をうけることとなるケースも多くあります。
■当院では手術をせずに、再発を抑える治療を提供しています
2020年3月より、手術を行っても鼻茸(ポリープ)が再発して大きくなり、鼻づまりや嗅覚の低下が顕著になってきた場合への新しい治療として、抗IL-4/13抗体 デュピルマブ (商品名 デュピクセント®)を皮下注射する方法が認可されました。
鼻茸、慢性副鼻腔炎の手術を受けたことがあるものの、鼻づまりや嗅覚障害、鼻汁などの症状が続いている場合はご相談ください。
手術のための入院が不要で、手術を含めた入院と比較して費用を抑えられる、また注射だけなので身体的負担が少ないといったメリットがあります。
■デュピクセントの治療費用
デュピクセント治療は月に2回、1回あたり2本使用しますので薬価だけで約25万円もします。ただし、好酸球性副鼻腔炎は「厚生労働省難病指定疾患」であるため、医療費助成制度の対象となり5千円~2万円/月の自己負担で治療可能です。
鼻漏が減り、鼻閉が改善してくるなど症状が安定したら、月1度の通院治療となり注射の回数も減ります。
なお、通常の好酸球性副鼻腔炎の方も使用は可能ですが、もう少し自己負担金がかかる治療になります。(高額医療の対象にはなります。)